ラフマニノフ
セルゲイ・ラフマニノフ(1873~1943)
ロシア出身のピアニスト、作曲家。後にロシア革命のときにアメリカに亡命し、アメリカで没する。
背が高く、巨大な手を持っていたとされ、マルファン症候群という遺伝子疾患のため異常に手の指が長かったと言わる。そのためピアノの離れた鍵盤にも余裕で届く指をもって、後世のピアニストが発狂するような難曲を次々と作曲した。
若い頃モスクワ音楽院にて学び、ロシアの音楽家としてはチャイコスフキーの後継者的な存在。詩的でロマンティックな旋律は人気が高く、たびたび映画のテーマ曲、またテレビCMの音楽としても使用されている。
・ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18
・ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 op.30
ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18
「のだめカンタービレ」ファンがクラシックを聴くなら絶対外せないのが、この「ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 ハ単調 Op.18」。シュトレーゼマン編のクライマックスであり、千秋にとっての、ひとつのおおきなステップでもあります。
ラフマニノフは18歳のときにピアノ協奏曲第1番で好評を得るも、その後の24歳のときに作った交響曲第1番を酷評され(一説には、初演時の指揮者が酔っ払って指揮をしたためとも)、自信を喪失して精神病になってしまいます。
治療の過程で、医師に「あなたは新しいピアノ協奏曲を書き、世間の評価を取り戻す」と言われたラフマニノフは、28歳のとき、精神病を克服して、このピアノ協奏曲第2番で復活を遂げます。
その後、1917年9月の演奏を最後にロシアを脱出し、翌年にはアメリカに移住。1924年にはガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」の初演に参加しました。「のだめカンタービレ」5巻の学園祭で、ラフマニノフの前にSオケが「ラプソディー・イン・ブルー」を演奏したのはこのエピソードに倣ったものなのかもしれません。
現在、6枚のCDを持っています。
●「標準的」と思われるアシュケナージ。ピアノ協奏曲全4曲が入ったお買い得CD
ピアノ:ウラジミール・アシュケナージ 指揮:アンドレ・プレヴィン オケ:ロンドン交響楽団ユニバーサルクラシック (1995/08/02)
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叙情的モダニズム、現代的ニヒリズムを徹底的に追求したニ短調協奏曲
すばらしい!だけど・・・
補足・・・ウラジミール(ウラディミール)・アシュケナージの演奏は、おおむね、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番の標準的な演奏とされているようです。彼はラフマニノフと同郷となるロシア人で、大の日本好きでもあるそうで、現在はNHK交響楽団の音楽監督をしています。
このCDは、ラフマニノフの4つのピアノ協奏曲すべてが収録されており、非常にお得な内容。初めて買うラフマニノフとして、おすすめです。
アシュケナージはピアニストとしては手が小さいそうで、曲の最初の和音(のだめ作中では「チャーン」、「ダーン」と描かれているあたり)を、アルぺジオ(和音をくずして、同時にではなく順番に弾くこと)で「ポロローン」と弾いています。あまり気になる部分ではありませんが、千秋やのだめの演奏するイメージとは違うでしょう。
●重厚さを増した40代のアシュケナージ
ピアノ:ウラジミール・アシュケナージ指揮:ベルナルド・ハイティンク
オケ:アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
ユニバーサルクラシック (1995/04/21)
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曲、演奏、録音すべて最高!
ラフマニノフのP協2番の決定盤!
最高最初に買ったラフマニノフが、このCDでした。最初に買ったCDだけに、個人的には最もよく耳に馴染んだ演奏です。同じアシュケナージのピアノなので上のCD(30代での録音)と大きな差を聞き分けるのは難しいのですが、ピアノの音、オーケストラの演奏とも、こちらの方がやや重厚さを増した印象です。
第1楽章のクライマックスのあたり、30代の演奏がロシアの針葉樹林を馬車が普通に走っているだけだとすれば、こちらは地吹雪の中を走っているようなイメージ。お金に余裕があったら聴き比べをしてみるのもいいかもしれません。
●シュトレーゼマン好みか? もだえるようなピアノを前面に押し出した演奏
ピアノ:クリスティアン・ツィマーマン 指揮:小沢征爾 オケ:ボストン交響楽団ユニバーサルミュージック (2004/01/21)
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この上ない名演!!!
第1・2番の決定盤!
ツィマーマンならではの音色を堪能できます。かなり感情の入ったピアノ。冒頭の「チャーン、ダーン」という演奏、「人を緊張の糸で縛りつけて、いきなり横殴りにするようなピアノの序章から」――「繊細ながらも力強い……心臓を突き刺すようなアルぺジオ(by佐久間)」といったイメージは、このCDの演奏が最も近いと思います。
でも、全体としては千秋のイメージよりも演技過剰なような気も。私の中では、これとアシュケナージの間ぐらいが、「のだめカンタービレ5巻」の学園祭での演奏のイメージです。
オーケストラの音がかなり引き気味で、上のアシュケナージの演奏と比べてピアノの音が聴き取りやすく、すさまじい技巧が堪能できます。アシュケナージ版とは別に聴いておく価値があると思いました。
なお、クリスティアン・ツィマーマンはポーランドの人です。
●新たなる名盤 若きラン・ランの大胆な演奏
ピアノ:ラン・ラン指揮:ワレリー・ゲルギエフ
オケ:マイリンスキー劇場管弦楽団
ユニバーサルクラシック (2005/03/23)
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2005年3月発売の新しい録音。試聴コーナーにあったものにシビれて、買ってしまいました。ラン・ランは1982年、中国の瀋陽生まれの若きピアニスト。ワレリー・ゲルギエフは1953モスクワ生まれの指揮者。オーケストラはロシアのマリインスキー劇場管弦楽団です。
冒頭の「チャーン・ダーン」は異様に重い(遅い)立ち上がり。そこから軽やかにピアノが走り出しますが、クライマックスとなる各所において、微妙にテンポを遅らせた、重々しい演奏になり、それが、聴き手をゾクゾクとさせます。「もだえるように」というより、もっとケレン味とは違う部分、深い部分での心情の震えを感じました。
この曲からはロシアの針葉樹林や都市の風景が思い浮かびますが、ラン・ランのピアノは、それらを思い浮かべながらペンを執るラフマニノフの心を表現したかのようです。ラフマニノフは交響曲第1番の初演に失敗し、失意の中で精神科医に励まされながらピアノ協奏曲第2番を書きました。そのときの苦悩や不安、そして自分自身への期待などが伝わってくるようです。
標準的な演奏ではありませんが、名演であることは間違いありません。ぜひ聴き比べに加えてほしい1枚です。
●音はイマイチだけど、ラフマニノフ自身が弾くラフマニノフ
ピアノ:セルゲイ・ラフマニノフ指揮:レオポルド・ストコフスキー
オケ:フィラデルフィア管弦楽団
BMGファンハウス (1990/06/21)
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試金石。
自作自演が必ずしも名演とは限らない好例のCD
自作自演の面白さラフマニノフのジサクジエーンによる録音。音源が古いので音がくぐもっていたり、モノラルだったりします。しかも、ラフマニノフ自身の演奏はずいぶんとあっさりで、印象に残るところがありません。シュトレーゼマンに「色気なしデス」とダメ出しされていた頃の千秋のよう。
これについては、ツィマーマンが上記CDのライナーノーツにあるインタビューでコメントしています。ラフマニノフ自身の録音から影響は受けたか? という問いに対して、
この演奏は、作品の内部にあるものを完全に説明しきっていません。(中略)自己陶酔に陥るのが嫌で、自分の感情を表に出すまいとし、感情的に演奏するのを抑えていたのかもしれません――この演奏が作品に対する彼の真の感情を表わしているのかどうか、ちょっと疑問です。
ツィマーマンはラフマニノフの真意を知りたくてフィラデルフィアに楽譜を調べにまで行ったそうです。すると、楽譜上の弾き手が感情をあふれ出させる場所には、鉛筆で書き込みがしてあったのだとか(つまり、ラフマニノフは敢えてあっさり弾いたということ?)。
と、いうことであれば、ラフマニノフ自身の演奏とはいえ、自身が表現したかった全てを出し切った演奏ではない、ということになりそうです。作曲者自身の演奏であるという意味で貴重な盤ですが、わざわざ買い求めるほどのものではないかも。
●フランスの女流ピアニスト エレーヌ・グリモーのピアノ
ピアノ:エレーヌ・グリモー指揮:ウラジミール・アシュケナージ
オケ:フィルハーモニア管弦楽団
ワーナーミュージック・ジャパン (2001/03/22)
売り上げランキング: 2,398
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若さ溢れる、リリックなラフマニノフ!
すばらしい!
この人が弾いていた!ジャケットのモデルが、エレーヌ・グリモー本人です。グリモーはラフマニノフに特別な思い入れを持っているそうで、15歳のときに初めて録音したのもラフマニノフ、そして、30歳になったときに録音したのが、このCDです。
繊細で、どこか危うさを感じるピアノの音です。若さと女性らしさ、というと非常に安易な聴き方のようで困ったものですが。初めて聴く1枚には安定感のあるアシュケナージかツィマーマンのピアノをおすすめしたいですが、この演奏も味があります。でも、女性的であるため千秋のイメージでもなく、のだめの独創的なイメージでもないので、「のだめカンタービレ」の作品世界に浸る演奏としては、ちょっと違うかもしれません。
ライナーノーツに最初の8小節の総譜が載っており、「のだめ」5巻75ページで千秋が弾いている音符を、ひとつだけ確認できます。
聞き比べの本
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番の聴き比べでは、残念ながら品切れになっていますが、ラフマニノフ―ピアノ協奏曲第2番にみる同曲異演の愉しみという本も発売されていたようです。
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」を徹底聴き比べ。ラフマニノフの自演やルービンシュタインはもちろん、ギーゼキング、リヒテルなどの巨匠級ピアニストからキーシンなどの現代ピアニストまで、100人の演奏を比較する。
この著者は音楽の専門家ではない、中学校の英語教師だそうで。こんな熱狂的な人もいるんですね。
ピアノ連弾用の楽譜
ピアノ協奏曲だけに通常はピアノ1台+オーケストラで演奏しますが、学園祭の後に、のだめと千秋がピアノ2台による連弾で演奏するシーンがあります。そのための楽譜が発売になっています。
全音楽譜出版社 (2005/02/21)
売り上げランキング: 121,336

ようやく復刊。演奏解説、練習法が秀逸です。この曲はいくつかの映画でも使われており、
逢びき
タイトルのまんまのストーリーらしい。
七年目の浮気
マリリン・モンローのスカートが地下鉄からの風でまくれ上がるシーンが、あまりにも有名な映画。
旅愁
これも不倫やら何やらのドラマ。
いずれも官能的な作品です。
こんなイメージもあって「もだえるように……(シュトレーゼマン曰く)」なんでしょう。
ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 op.30
こちらは、映画「シャイン」で有名な曲です。主人公デビッド・ヘルフゴッドが演奏しきった直後に倒れ、精神病になってしまう、「世界一難しい曲」。
「シャイン」のモデルになったデビッド・ヘルフゴッドによる演奏がCD化されています。
BMGファンハウス (1997/02/21)
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魂にふれた
他を寄せ付けない演奏
シャインで感動
「のだめカンタービレ」11巻の孫Ruiのイメージを重視して、アジア人女性のピアノによる演奏ということなら、こちらがいいかも。
ソニーミュージックエンタテインメント (2003/06/18)
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ソロは見事。オケはちょっと個性的。参考:
ラフマニノフはお好き?
おんがく日めくり 3月28日 ロシアのピアニスト/作曲家、セルゲイ・ラフマニノフ没
ラフマニノフ(1840~1893)の生涯
ラフマニノフ資料館
はてなダイアリー:ラフマニノフ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番ニ短調 作品30
- 2005-01-19 (水)







シャイン
