「あのこにもらった音楽」勝田文
いい作品なんだけど、これといって力を入れて語るべきポイントがない、というタイプの作品について感想を書くのはとても難しくて、言葉の限界を感じてしまいます。
白泉社 (2003/09/05)
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「あのこにもらった音楽」のテーマは、何も変わらず、大切な人のそばで、そのままでいることの幸せ、なんだな~と読みました。
主人公の梅子は、幼いころに両親をなくして(父は行方不明、母は病死)、母の幼なじみが経営する旅館に引き取られます。
その旅館の一人息子・蔵之介は、17歳でショパン・コンクール最年少1位が確実視されていた天才ピアニスト。ですが、不慮の事故というかなんというか……によってピアニスト生命を絶たれてしまっていました。
でも絶望に打ちひしがれるわけでもなく、腐ってしまうわけでもなく、音楽の先生をしながら淡々と暮らしていく蔵之介。「ショパンにはフラれたけど、俺にはまだブラームスがいたからな」と、小さい頃の梅子に、よくブラームスの子守歌を弾いてあげていました。
梅子にはある日突然、ドイツ人の父がいたことが明らかになり、ドイツで(しかもごっつい古城で大金持ちの娘として)暮らそうと誘われます。
でも、蔵之介(のピアノ)の近くにいることが一番だと気づいて、ドイツ行きをキャンセルして梅子は蔵之介と結婚してしまうのでした。
全編こんな調子で、彼らはいつも、自分の目の前にある、身の丈にあった幸せを大切にしていて、不必要にドラマチックな展開への道には行かず、淡々と生きていきます。そんな中でも、蔵之介は世界的なヴァイオリニストになった友達とコンサートをしてみたり、梅子は梅子で夫を放って合コンに行ってみたり、なんてこともあるんですが、やっぱりすんなりと帰ってくる。
なんといいますか、こういう、芯のしっかりした人生っていいなーと思いますね。今の世の中、そういう生き方をしたいと思ってもあちこちから揺さぶられてしまうことが多いだけに、なおさら憧れます。
家の本棚をよく見たら、同じ勝田文さんの「Daddy Long Legs」がありました。こちらも良かったです。
集英社 (2006/04/19)
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- 2007-03-08 (木)


